心臓外科

犬の動脈開存症(PDA)とは

出生前の胎児の心臓は、母親のお腹の中では大動脈と肺動脈の間に動脈管という血管が存在しています。
出生後、胎児は肺呼吸へと移行していくため動脈管はすぐに閉鎖をし、その役目を終えていきます。
動脈管開存症は、出生後においても動脈管が閉じずに残存している先天性の心臓疾患です。(緑色矢印で指し示した部位に血流障害を生じる)

そして、その事で血液が動脈管を介して逆流し続ける結果、心臓への負担がかかり最終的には心不全により死に至る疾患です。

心臓のイラスト

症状は?

初期や軽度なものでは症状は殆どみられませんが、病態が進行していきますと、遊びたがらない・運動をしたがらず直ぐに疲れる等の症状や、咳、発育不良等の症状が顕著に現れてきます。

診断は?

診断にはまず、聴診が一番簡単な手掛かりになります(連続性雑音)。
そして、確定診断には心臓のエコー検査が必要になります。
心臓のエコー検査では、カラードドプラにて短絡血流がモザイクパターンとして描出されます。

 

PDAの血流速計測画像
PDAの典型的な血流速計測画像

治療は?

内科療法

根治療法ではありませんが、心臓の負荷を軽減させる強心剤や血管拡張剤、利尿剤等を使用し治療していきます。

外科療法

全ての症例において適応ではありませんが、比較的若齢で軽度な症例な仔には外科療法が適応になります。
当院においては、開胸術による動脈管結紮法を実施しております。
動脈管結紮法は、動脈管をしっかりと目視し結紮出来るので、確実性の高い手術法になります。

 

PDA手術画像
PDA手術画像

最後に

動脈管開存症の手術にはリスクも伴い、難易度の高い手術にはなると思いますが、早期の発見で手術が出来さえすれば完治する病気です。
家族として仔犬をお迎えしたら、必ず動物病院で聴診を含めた身体検査を受診する事をお勧めします。

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